「へぇ~」と言いたくなる国立国会図書館への納本制度

 今日は、出版物を国立国会図書館へ納本しなければならない、と言う「納本制度」についてのお話しです。業界知識というのは、その業界の人にとっては常識でも、一般の人から見れば「そうやったんや~」と思えるようなことがたくさんありますね。若き日に読んだ「○○○○」や「○○通信」なんかを読み返したい時も、国立国会図書館に行けば閲覧できるという、すごい図書館であり、制度でもありますね。

<ポイント>
・国内で発行された全ての出版物は、国立国会図書館へ納入することが義務づけられている。

1.国立国会図書館

 国立国会図書館とは、国立国会図書館法によって設立された図書館であり、立法補佐機関です。立法補佐機関としての役目を司ることも、法令に定めがあります。

(国立国会図書館法)
第二条  国立国会図書館は、図書及びその他の図書館資料を蒐集し、国会議員の職務の遂行に資するとともに、行政及び司法の各部門に対し、更に日本国民に対し、この法律に規定する図書館奉仕を提供することを目的とする。

第十五条  館長は、国立国会図書館内に調査及び立法考査局と名附ける一局を置く。この局の職務は、左の通りである。
一  要求に応じ、両議院の委員会に懸案中の法案又は内閣から国会に送付せられた案件を、分析又は評価して、両議院の委員会に進言し補佐するとともに、妥当な決定のための根拠を提供して援助すること。
二  要求に応じ、又は要求を予測して自発的に、立法資料又はその関連資料の蒐集、分類、分析、飜訳、索引、摘録、編集、報告及びその他の準備をし、その資料の選択又は提出には党派的、官僚的偏見に捉われることなく、両議院、委員会及び議員に役立ち得る資料を提供すること。
(以下省略)

 第一義的な目的は立法、行政、司法の三権機関への奉仕であって、国民への奉仕はそれよりも若干優先順位が低くなっていることが、第21条(省略)から読みとることができます。

 なお、この国立国会図書館法は、「第一条」がはじまる前に前文を持っている数少ない法律の一つです。

国立国会図書館は、真理がわれらを自由にするという確信に立つて、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、ここに設立される。

 「真理がわれらを自由にする」ってなかなか格好いい前文ですね。

2.納本制度と代償金

 納本制度も同法によって定められている制度です。第11章に定められており、原則として、「最良版の完全なもの一部を納入しなければならない。」とされています。もちろん「タダで」という訳ではなく「出版及び納入に通常要すべき費用に相当する金額を、その代償金として交付する。」と定められていますので、代金と送料は請求できます。但し、代金全額が請求できる訳ではなく、国立国会図書館ホームページによりますと「通常、小売価格の5割と郵送における最低の料金に相当する金額」となっています。

 納本を義務づけられている出版物は次のとおりです。

  1. 図書
  2. 小冊子
  3. 逐次刊行物
  4. 楽譜
  5. 地図
  6. 映画フィルム
  7. 前各号に掲げるもののほか、印刷その他の方法により複製した文書又は図画
  8. 蓄音機用レコード
  9. 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつては認識することができない方法により文字、映像、音又はプログラムを記録した物

 図書だけでなく、DVDもCDも全て納本しなければならない、と言うことは、逆に考えると、国立国会図書館へ行けば、全て閲覧できるってことなんですね。これはある意味すごいことです。

3.貸し出しできるのか?

 残念ながら、国立国会図書館の蔵書類は、閲覧のみが可能であり、貸し出しはできません。

4.関西館

 関西学研都市内に関西館があります。京都市内からなら一時間はかかりません。学研都市には公園もあったりと名前の割に家族でゆったり遊べる処もあります。

5.まとめ

 国立国会図書館のホームページでは、蔵書資料の検索システムもあり、また、図書館の役割が記載されており、興味深い内容になっています。是非一度ご覧くださいませ。