弁護士ドットコムのウェブ戦略

 今日は、人気ウェブサイト『弁護士ドットコム』のウェブ戦略について検討します。

最近見かける弁護士による時事解説

 最近、Yahoo!ニュースで弁護士ドットコムからの記事が配信されるようになりましたね。
 ホットな話題を法律的な視点から分かりやすく解説する記事は、勉強にもなって興味深いものがあります。

 私は、最初に「弁護士ドットコム」からの配信を知った時、「上手いな」と素直に思いました。
 この記事配信は、時事問題を法律的な視点から切り込むことで、閲覧者には「へぇ~」「なるほど」と新鮮な学習体験を与えつつ、ミクロ的に執筆弁護士の知名度向上に寄与するばかりではなく、中長期的には「弁護士」という職種そのものへの認識改善とファン拡大を狙っていると考えられます。
 このような手法は、インターネットの重要な役割である公益性の増進にかなっており、かつ、債務整理が下火になり、資格者増加で厳しい局面を迎えている弁護士業界にとっても有効と言えるでしょう。

「きっかけ」マーケティング

 この記事配信が優れているところは、弁護士目線でコラムを執筆する、というのではなくあくまでインターネット上などで話題になっているトピックを取り上げて、それを法律家としての視点から解説している点です。話題になっているトピックを扱っているので、便乗して拡散される期待値も高くなる。
 この手法は、「伝えたい」「シェアしたい」というソーシャル大好きな人たちの心理を上手く活用した、誠に見事なマーケティングと言えます。
 このブログでも、浜崎あゆみさんの離婚や有名シェフの経営するお店の「お水800円」など、話題を利用した記事配信を行っており、私はそれを「きっかけマーケティング」と自分で勝手に名付けています。

Yahoo!の判断

 ところで、この弁護士ドットコムの記事配信には、なかなか面白い点があります。
 この記事配信はYahoo!ニュースに配信されているほか、弁護士ドットコムさんのサイト内でも閲覧することができます。
 そして、弁護士ドットコム内のページには、取材協力弁護士の顔写真や直リンク(クリックすれば移動できるリンク)が掲載されています。
 一方、Yahoo!ニュースの記事配信では、執筆者の紹介はあるものの、顔写真の掲載はなく、事務所名URLも、リンク形式になっておらず、ページ移動がしにくくなっています。

 このヤフーさん側の判断も、とても良い判断だな~と思います。Yahoo!のニュース配信は公益性が高く、執筆者の法律事務所へリンクを貼ることになると、特定の執筆者がYahoo!ニュースの有する公益性のメリットを享受「できてしまう」ことになる。
 URLを掲載しつつリンクを貼らないヤフーさんは、「さすが」と思ってしまいます。

まとめ

 やはり今の時代のインターネットマーケティングにソーシャルの活用は欠かせませんね。ソーシャルだけに注力しても受任率にはつながらないと思いますが、ソーシャルは「ファン」を増やす大切なツールの一つです。士業の皆様は、有効活用しない手はありません。

 っていう僕自身はほとんど使ってません。FACEBOOKさんには「よくないね!」ボタンの設置を提案します。「風邪ひいて寝てます」って書き込んで「いいね!」40件なんて絶対おかしいですよね?

追記
 2013年6月28日、本文中に「弁護士.com」という表現を記載していた点についてご指摘があり、「弁護士.com」を「弁護士ドットコム」に修正しました。