今日は、行政書士は『法律家』と呼べるのか、というお話しです。久しぶりに京都府行政書士会のホームページを開いてみると、「法律家」と言う言葉が使われていて、正直「へぇ~」と感心しました。そういえば、ポスターにも使われています。
今日の記事は、完全な私見です。十分な根拠を取っているわけでもない徒然ブログですので、法律関連職種の皆様方はそのおつもりでお読み頂きますよう。
<ポイント>
・今日の記事は私見を記述するだけの内容につきポイントはありません。
1.『○○家』とは?
ゼネコンで営業をしていた時、設計事務所をたくさんまわりました。多分1,000件以上は飛び込み営業したと思います。
名称は「設計事務所」だったり「一級建築士事務所」、「建築研究所」など様々でした。
代表者の肩書きも面白かったです。「代表」や「一級建築士」など多様でしたが、希に「建築家」と書かれた名刺を頂きました。
世の中には、『○○家』と称される職業がありますが、それらの定義は必ずしも明確ではありません。
たとえば、私がたった今『自分は陶芸家です!!!』と名乗ったところで、きっと罪にはならないと思います。異業種懇親会に出席し、『作家 ○○○○』と名刺を差し出しても、きっと「はぁ、そうなんですか」と言ってもらえるでしょう。
このように、『○○家』というのは、必ずしも明確に定義できる概念ではなく、しかし、一般的にはある種のイメージが定着しているという、深く考えるとなかなかに面白いコトバです。
2.行政書士は『法律家』と言えるのか?
そして、『法律家』です。代書屋風情の行政書士が『法律家』を名乗ってPRしはじめると、競業者が増えた弁護士業界、簡裁代理権が法定された司法書士業界に取っては当然「勝手に名乗るな」ということになります。
これは、私の全くの私見ですが、行政書士は『法律家』ではないし、法律家を名乗る必要もないと思います。私自身、自分を法律家と認識したことはないし、また恥ずかしくて「法律家です」とは言えません。
行政書士を法律家と称する根拠については、肯定派からは法務省関連の分類、否定派からは、厚生労働省の職業分類を拠り所にした主張がなされていますが、はっきり言ってそんなに難しく考える必要があるのかな~と思います。
大学の法学部の先生と、法廷で話すことができて最後の手続までできる専門資格者だけが法律家でいいんじゃないでしょうか。簡裁代理権を持っていない司法書士さんは登記屋さん、簡裁代理をもっていれば法律家兼登記屋さん。行政書士さんは代書屋さん。社労士さんは社会保険労務のプロ。土地家屋調査士さんは、一般にはあまり知られていませんが、土地境界(筆界)なんかを確認する際に活躍される渋いプロフェッショナルですね。自分的にはそんなイメージです。
ただし、上訴の法廷では活躍できない簡裁代理権をもって『法律家』と呼ぶことには、弁護士からすれば「それで法律家?」と言ったところでしょうし、私からみれば簡裁代理権をもった司法書士は『法律家』ですが、弁護士から見るとそうではないのかも知れません。
3.公認会計士と税理士
一方、私的には、公認会計士と税理士の皆様方は「税務法律家」と呼べる資格者であると思います。
税金の制度は複雑怪奇でしかも毎年変わってきます。そして、納税者は一般的に税金をたくさんは支払いたくないので、あれやこれやと聞いてくる。それらに対して「調べます」と言わずその場で即答できる先生方は、間違いなく『法律家』と呼ぶに相応しいと思うのです。
4.もう一度行政書士
そう考えると、行政書士だって行政関連法規に精通していれば法律家と呼べる余地がありそうにも思えますが、私的には、本当に「なんとな~く」というレベルで、行政書士は法律家とは呼べない気がします。
それに、現場でバンバン活躍してらっしゃる行政書士にとっては、そんな呼称はどうでもいいことなのかも知れません。
5.さらに弁護士
では、朝からテレビCM流してる弁護士を、『法律家』と呼べるのか、といえば、一般人の印象としては必ずしもそう思えない部分があると思います。それに明確な根拠はないんですが、たとえば、安藤忠雄や黒川紀章が営業のためにコマーシャルを流すかって考えると、流さないと思うんです。なので、私の中での『○○家』というのは、宣伝なんて一切しなくても人から仕事を依頼される職業人の中で、特に優れた能力を持った人達のことを言うのではないかな、と思います。
6.『政治家』について考えてみる
少し視点を変えて、政治家について考えてみます。果たして今の国会議員全員を『政治家』と呼べるでしょうか?私はそうは思いません。また、議員であることが政治家の必要要件であるとも思いません。
つまり、「00家」と呼ばれるようになるためには、積み上げてきた経歴や、その人の信念や理想といった要素も必要になってくるのではないかと思うのです。
再び行政書士に戻りますと、十分な経歴があり、行政書士としての理想や信念を持って職務に向き合っている人は、「格好いい行政書士」、「行政書士のカガミ」、「行政書士の生ける伝説」とか、そんなネーミングでいいんじゃないでしょうか。行政書士は紛争解決に関与できないし、弁護士と同じ土俵で仕事はできない。だから、「法律家」なんて名乗ろうとせず、行政書士らしく社会に貢献できる方法を考えていけばいいだけのこと。「代書屋」って、私は悪いイメージがしませんけど。。。
7.まとめ
大切なことってどう呼ぶかとか、なんと呼ばれるかではなくて、社会とか、誰かのために何ができるかってことのはず。おいしいコロッケを揚げてもらったら「ありがとうございます」と言ってお金を払うし、トイレが詰まって直してもらったら「ありがとうございます」と言って玄関で見送ります。なので、行政書士は行政書士以上でもないし、以下でもない。現在は国が定めた国家資格の一つであって、できることが法定されており、それをもって社会に貢献することができる。そして、行政書士法を遵守して社会に貢献していく、それだけのことだと思いますね。
このブログ、最近記事の題材を見つけるのにちょっと苦労してます。今日は苦し紛れに書き始めた割りには長い文章になりました。
アクセス多いんで、役には立ってると思うんですが、「何のために書いてんだろう」って自問してしまうこともあったり。
でも今週は乗り切ったので、週末に気分転換してまた来週もがんばります。