今日は、婚姻についてのお話しです。
『家政婦のミタ』、毎回見てしまってます。ホームページの来週の予告には、婚姻届がチラリと映りました。キイちゃんの「お母さんになって」で、「承知」してしまったミタさんの婚姻、どうなるんでしょうか?これは全くドラマの筋書き次第なんですが、ドラマを1.5倍くらいは楽しく見れるように?婚姻についての基礎知識を知っておくのも悪くないかも知れません。そこで、今日は婚姻の成立要件についてちょっと書いてみようと思います。
婚姻を有効に成立させるためには、実質的要件と形式的要件を満たしている必要があります。
実質的要件とは、まず、「この人と結婚したい」と言う意思の合致です。
しかし、キイちゃんとお隣の男の子が「結婚したい」と思っても、結婚はできません。婚姻を有効に成立させるためには、法が定める適齢期に達していること、重婚にならないこと、女性の場合は待婚期間を過ぎていること、近親婚でないこと、未成年者は父母の同意があること、の各要件を満たしている必要があります。
もう一つの形式的要件、これは届出です。結婚式を挙げるだけでは法律上の夫婦にはなれません。これはもう常識の範囲内と言えるでしょう。
そして、これらの要件を満たしていない場合には、法律の定めにより婚姻が無効になったり取り消されたりすることになります。但し、未成年者が父母の同意を得ずに婚姻した場合のみは、その婚姻は有効となります。
さて、この要件をミタさんに当てはめていきましょう。
ミタさんは年齢的に問題なく、重婚でもなさそうです。ドラマ全体の雰囲気で言えば、待婚期間もクリアしているでしょうし、近親者でもありません。障害事由は問題ないと考えられます。
そこで、「この人と結婚したい」と言う意思の合致が見られるかどうかが次の問題となります。
この「結婚したいと言う意思」についても、学者さんの間では争いがあるようですが、判例や、学説の多数は「婚姻意思とは社会通念上夫婦と認められる関係を形成しようとする意思」であると定義する『実質的意思説』に立っています。
果たしてミタさんが「社会通念上夫婦と認められる関係を形成しようする意思」があるかどうか…「旦那様」もそれに応えるのかどうか…それは最終回を見なければ分かりませんね。
ミタさんが子ども達4人への愛情で以て婚姻を決断したのだとしたら、それは『実質的意思説』によれば有効なのかどうか、などなど終わってから考えてみるのも面白いかも知れません(見てる最中はそんなこと考えてられないドラマです)。
では、最終回で婚姻届が提出されたものの、二人には実際のところ「婚姻の意思」がなかった場合、第三者であるうららちゃんは婚姻無効を裁判上訴えることができるのでしょうか?
最高裁判所は「当事者以外の第三者もその利益がある限り無効の確認を求めうる」としています。
しかし、うららちゃんは訴訟を起こすには至らないと思われます。きっと、法律相談に行くのに、別の電車に乗ってしまうでしょうから。
果たして、ミタさんは笑うのでしょうか?
(このブログは京都の行政書士が自身のサイトを充実させるために業務や趣味について有益と思われる情報を綴っています。今日の内容については六法や判例その他参考書を確認して記載していますが、その内容を確実に保証するものではありません。)