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戸籍謄本を不正取得したとして、司法書士や元弁護士が愛知県警に逮捕される、と言うニュースが流れました。
今日は、これに関連して、戸籍の歴史を少しご紹介したいと思います。
戸籍の謄本や抄本というのは、普通は一生のうちでもそう何度も目にするものではありません。ですのであまり知られてはいませんが、戸籍制度は、従来、戸籍の公開を原則とし、昔は誰もが閲覧できるシステムだったそうです。
しかし、プライバシー保護のため昭和51年の戸籍法一部改正により、戸籍の閲覧制度が廃止となり、市区村長は、「不当な目的によることが明らかな戸籍謄本等の交付請求を拒否できること」になりました。しかし、「拒否できる」という文言からもわかるように、戸籍閲覧の根本原則自体は維持されていました。
その後、「個人情報」を守秘したいという時代の流れや、戸籍改ざん事件が後を絶たない現状をふまえ、平成19年にいわゆる改正戸籍法が成立し、平成20年5月1日から施行されることになったのです。
この改正戸籍法では、戸籍を原則的に非公開とし、本人が請求する場合でさえ、請求が不当な目的によることが明らかな場合は、市区村長はこの請求を拒める仕組になりました。また、本人以外の者が請求する場合は定められた事由に該当する場合でなければ戸籍謄本の交付請求はできなくなりました。
しかし、ワタクシ行政書士も含め、弁護士、司法書士、税理士など、一定の国家資格者は、職務上、業務遂行に必要がある場合他、一定の事由の場合に、被請求者の関与なしに戸籍を請求することができ、今回の事件は、まさにこの制度を悪用した事件のようです。
余談ですが、この国家資格者が行う請求については、資格の種類や地域によって呼び方は様々と思われますが、私は「職権請求」と呼んでいます。
職権請求は、専用の用紙を使います。この用紙は、弁護士会や行政書士会で資格者が入手するのですが、その取扱は極めて厳重で、ことあるごとに適切に管理する旨通知が来ます。
その用紙をつかって「1万件超」とは正直考えられない分量ですね。一部報道によれば、職権請求用紙自体を偽造していたとか…。用紙の厳重な取扱を考えれば、ありえない話しではありません。逆に「1万件」分の職権用紙を買おうと思えば絶対に所属会から査察が入るでしょう。
法令遵守の精神は、弁護士、行政書士、ファイナンシャルプランナーなどの種類にかかわらず、資格者にはより高度に要求されるものだと思います。行政書士会は、やたら研修が多くて正直「う~ん」と困ってしまう時もあるけれど、こういった研修でしっかりと再確認しておくということも大切なんだな~と思いました。
この種の犯罪は、資格制度根本が問われることになりかねませんので、あらゆる資格者は品位保持と法令遵守の精神を常に意識すべきです。