私は、図書館を利用する人間です。
特に、ウェブデザイン系の本はほとんど図書館で借りています。京都市内の図書館は、どの館にある本でも最寄りの図書館へ取り寄せてもらうことができ、新着図書や蔵書をインターネットで簡単に検索することができます。しかも1回につき10冊まで!使い始めたのは3年くらい前からなのですが、今では、もう使わない手はないってくらい、図書館のヘビーユーザーです。
ところで、いつものように業務やウェブについての本を借りに行った際、サッカーのコーナーをのぞいてみると、『野洲スタイル』と言う本があったので、借りてみました。
お隣の滋賀県にある野洲高校は、無名の公立高校からサッカー高校選手権を制覇したプロセスで有名になった学校で、また、そのサッカーが、個人技に重点を置いた独特のスタイルだったために、優勝した当時は大きな話題となりましたね。
私は、サッカーの名言に関する図書を何冊か持っているのですが、そこに、この野洲高校の山本監督の言葉が掲載されています。高校選手権決勝戦、1点リードしていたのに試合終了直前に同点にされ延長戦になった時、山本監督は「よかったな。このメンバーであと20分戦えるぞ」と言って選手を送り出されたそうです。
失点を叱責する訳でもなく、「根性」を説くのでもなく、「よかったな」と言えるこの監督はすごい人やな…との印象があったので、早速この週末に読んでみました。
この山本監督、サッカー選手の経験がなかったんですね~。それ自体が驚きです。プレーヤーとしてはほとんど未経験のまま高校の先生になり、監督になっていらっしゃる。
この本の中で、一番印象に残った言葉が表題の「チャンスを逃すな」という言葉です。これは、命令形で子どもに指示するのではなく、子どもに判断を任せるコーチングを、と言う文脈で使われた言葉です。
ジュニア以下の世代では、コーチング時に答えをそのまま出すのではなく、子どもに対して判断を促す言葉がけをすることが推奨されています。しかし、それを実際の試合で実践することはなかなか難しいことです。私も「そこどうすんの?」「それどうしたらいい?」というコーチングをよく耳にします。それは、確かに答えを出さず判断を委ねていると言う点はクリアしていますが、抽象的すぎて、4種年代の子ども達にはわかりづらいんじゃないか、と言う気がしていました。
この「チャンスを逃すな」という言葉は、たとえば、ボールを持っている時においては、「ドリブルで突破するチャンスを逃すな」と言えば、子ども達はミスを恐れず積極的にチャレンジできるでしょうし、「ボールを奪えるチャンスを逃すな」と言われれば、恐がりな子でも、今までの自分よりも少し強くいける勇気を出すことができるのではないかと思うのです。また、ボールを持っていないプレーヤーは「ゴールを決められるチャンスを逃すな」と言われれば、ただ突っ立っているだけではなく、サイドからのオーバーラップや、ボール保持者を追い越していく動きがもっともっと出てくるんじゃないかという気がします。
さらに言えば、この「チャンスを逃すな」は、英訳すれば「Don’t miss a chance」ということになるでしょうが、やはり禁止系の言葉よりも「Let’s」で始まる言葉の方がよりポジティブになるはず。なので、「チャンスをものにしよう」が一番いい言葉がけかも知れません。
行政書士は業務範囲が広く、勉強しなければならないことが多いため、どうしても業務関連の本ばかりを読んでしまいがちですが、もっともっとたくさんの本を読んで広く学ばなきゃならないな、と思わせてくれる良書でした。