民泊のための不動産購入に関するアドバイス

 民泊について、ここ最近はそれこそ毎日驚くほどのご相談が入ってきます。
 中には「民泊用に買ったんだけど…」というご相談もお受けしますが、その全てで許可が得られる訳ではありません。

 不動産仲介業者さんは、許可が取れるかどうかについて責任回答をしないことが通常です。もちろん、行政書士であっても、責任回答をすることはできません。
 しかし、経験則を活かしてアドバイスを差し上げることは可能です。

 本稿では、購入後に「しまった」と思われることがないよう、賢い購入方法をアドバイス致します。

  • 民泊は簡単ではないことを知りましょう。
  • 需要のある物件を知りましょう。
  • クリアすべき法律の種類について知りましょう。
  • 買う前に専門家に相談しましょう。

民泊は簡単ではありません。

 最近、Airbnbなどのサービスが取り上げられ、民泊が「稼げる」として注目を集めています。
 しかし、ビジネスをはじめるためには、最悪の場合も想定しなければならないはず。

 宿泊者が失火で火災が発生した場合、その責任の所在はどうなるのか。宿泊者が近隣とトラブルを起こしてさっさと帰国してしまった場合、その対処はどうするのか。法的責任を問われる可能性はないか。
 会社員が副業ではじめる場合の税務はどうなるのか。マイナンバー制度が始まって、会社に兼業が知れる可能性はないか。知れた場合、就業規則に抵触はしないか。

 こういったことも頭の中に入れて準備なさる必要があるのではないかな…と最近感じます(それほどに「とりあえず民泊やりたいんだけど」という相談が増えています)。

需要のある物件を知りましょう

 特に京都の場合、やはり町家風情のある物件が人気です。しかし、後述しますが、純粋な町家は許可を取るのがなかなか困難です。ですので、理想的なのは「町家風」の物件ということができるでしょう。
 中には普通の中古戸建て住宅で「これで許可取れますか」とご相談を受けることがあります。許可は取れるかもしれませんが、採算が取れるかどうか、事前にある程度市場調査はすべきと言えるでしょう。
 要注意は「再建築不可」となっている不動産です。再建築不可の場合、その分価格は安いと思いますが、建築基準法上の要件(主に接道義務)を満たしていないから再建築不可となっているわけです。
 ですので、京都市の場合、再建築不可の物件では、許可の取得は原則として難しいと言うことになります。但し、要件によっては可能性がなくもないので、慎重に検討すべきでしょう。

クリアすべき法律の種類を知りましょう

 民泊と言えば「旅館業法」。調べれば確かにそうなります。「簡易宿所」の営業許可と考えがちですが、実は、これは最終の要件となります。

 民泊をはじめる場合、まずは建築基準法の条文にあたる必要が出てきます。

 前から旅館だった所で開業する場合は問題になりませんが、民泊は通常一般の居宅で行うことを計画します。この場合、建築基準法上の「用途変更」をすることになります。
 建築基準法上の面積計算で100㎡を超える建物を使う場合、用途変更の確認申請が必要となりますが、それ以下の場合、申請自体は必要ではありません。しかし、申請は必要でなくとも用途変更を行うことには変わりありませんので、その基準を満たす必要があります。
 
 建築基準法をクリアすれば、次は消防法です。簡易宿所の営業許可を申請するためには、消防法令適合通知書を添付しなければなりません。ですので、消防の要件をクリアできないと、旅館業の申請自体にたどり着けないのです。

 消防法の要件に目処がつくと、次は旅館業法です。定員数、採光などここでも幾つかの要件があり、京都市では保健センターと調整しながら進めていきます。
 さらに、バリアフリー条例による申請も行わなければなりません。

 このように、民泊といえば「簡易宿所」というのは順序違いで、むしろそれまでの要件をクリアしていくことが大切になります。

専門家へ相談しましょう

 このように、民泊をはじめるために不動産の購入をお考えの場合、購入は慎重に検討する必要があります。「安いから」という理由で購入し、その後に相談するのではなく、むしろ買う前から相談して進めていかれることが大切です。「民泊 行政書士」で検索なさるなどして、専門家へ相談して、できるだけリスクを減らして進めていかれるようご検討なさってください。
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