東京家裁の「成年後見監督人」選任について

 7月23日(木)9時30分、毎日新聞のインターネット版で配信された記事によると、東京家裁が弁護士に対しても成年後見監督人を付す制度運用を開始したそうです。
 みやこ事務所では、2年前に「後見監督人制度の有効活用を!」という記事を書いて、資格者であっても成年後見監督人を付すことを提言していました。

 天下の裁判所に先駆けて主張していたとおりの運用がはじまるというのは、素直に嬉しい話しです。

 記事によれば、この運用に対して弁護士会からは「弁護士が信用されていない」と反発の声もあがっているそうです。

 弁護士は、いわゆる文系資格の中では最高難度の資格であって、社会的地位が高いとされています。

 資格に詳しい人から考えると「弁護士>司法書士>行政書士」というのが順序だと思いますが、弁護士の先生方からすれば、控えめに書いても
「弁護士>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>行政書士」
というお考えの方が多いでしょう。

 しかし、これはあくまで便宜上図式化したものであって「同じ土俵に上げてくれるな」というのが素直なお考えだと思いますし、私自身もそう思っています。

 しかし、一般の方々は必ずしも「弁護士先生=とっても偉く、品位を保持し、弱者の味方」と考えていらっしゃる訳でないこともまた事実です。
 現に、行政書士事務所には「弁護士は嫌いだから」という理由で相談に来られる方もいらっしゃるのです。

 成年後見人に対し監督人が付されることは、決して弁護士を信頼していないということではなく、むしろ「人間は誰しも過ちを犯す可能性がある」という前提に基づいて、より過ちが少なくなる制度作りがはじまったと見るべきではないでしょうか。

 成年後見は、今後益々重要となる制度です。重要であるが故に、ビジネスマーケットととしても捉えられています。
 しかし、その本質は高齢化社会で意思能力が保てなくなった方々やその周囲の人たちをサポートするための社会的意義にあるはずです。

 適正な運用がなされていくよう見守っていきたいですね。

 なお、推敲段階で弁護士と行政書士の比較の部分は不要にも思えたのですが、弁護士の先生方に対する敬意を伝えておかなければと思い削除せず出稿しました。