複雑な民泊の開業要件をコンパクトにまとめて解説
- 建築基準法上の要件を満たす必要があります。
- 消防法令適合通知書を得る必要があります。
- 旅館業法の設備基準をクリアしなければなりません。
- 京都市のバリアフリー条例に基づく協議が必要となります。
京都市内で簡易宿所を開業するためには、幾つかのポイントがあります。購入を前提に民泊をお考えの場合、これらのポイントを押さえておかないと適法に開業することができません。
以下、基本的なチェックポイントをご案内致します。
- 建築基準法による要件
- 消防法による要件
- 旅館業法による条件
- バリアフリー条例による条件
平成28年12月1日以降の申請については、手続と書類が厳格化されます。くわしくは「新指導要綱」の検討ページで解説しています。
1.建築基準法上の要件
まずは、建築基準法上、建物を旅館として利用するための必要な条件があります。
- 用途地域上、建築可能な地域であること
- 建物の前面道路が建築基準法上の道路であること
- 現実問題として、面積が100㎡以下であること(100㎡を超えると要件が格段に厳しくなります)
用途地域上建築可能な地域であること
建築基準法上、宿泊可能な用途地域が定められており、当該地域以外で簡易宿所を営業することはできません。
宿泊施設が営業可能な地域は以下の6つです。
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
なお、実際には、二つの用途地域上にまたがって建築されている場合も少なからずあり、慎重な判断が必要になります。
上記に列挙した用途地域外の場合、それだけで適法に宿泊施設を運用することは不可能となりますので注意が必要です。
建物の前面道路が原則として建築基準法上の道路であること
宿泊施設を営業するためには、敷地に接道している道路が原則として建築基準法に定められる道路である必要があります。
従って、狭い道路などでいわゆる2項道路指定を受けていない場合は、旅館への用途変更ができない可能性があります。
2.消防設備に関連する要件
旅館業の許可を得るためには、消防法上の設備基準を満たしている必要があります。
添付書類には、消防検査を受けた後に消防署から交付される「消防法令適合通知書」が必要となります。
消防に関連して必要な設備は主に以下の三つです。括弧書きは根拠法令を示しています。
- 自動火災警報装置(消防法)
- 誘導灯(消防法)
- 非常照明(建築基準法)
また、施設によって消火器の設置が必要になります。ただし、事業として旅館業を営む訳ですから、法令上なくとも消火器を設置しておくことが望ましいと言えるでしょう。
いわゆる京町家で民泊を開業する場合、当該建物が長屋形式になっている場合が少なくありません。この場合、壁の施工方法等について消防署と慎重に協議する必要があります。
3.旅館業法による要件
簡易宿所を開業しようとする場合、旅館業法に基づく施設基準を満たす必要もあります。
□ 客室の面積が33㎡(宿泊者の数を十人未満とする場合には、3.3㎡に当該宿泊者の数を乗じて得た面積)以上であること。
□ 適当な数の入浴施設・トイレ・洗面所
4.バリアフリー条例による要件
最後に、京都市内で新しくサービス事業を行う場合、バリアフリー条例の協議を行う必要があります。
もちろん、旧来の建物を活用して行う場合、条例の全ての規定をクリアするのは困難です。
この場合、建物内をどのように見立てるのか、つまり、一棟貸しとするのか、区分したB&Bのように考えるのかで整備義務が変わってきます。
協議を行った後、当該協議に基づいて施工を行い、最終的には京都市による確認が入ることになります。
民泊を開業するために
民泊を適法に開業するためには、これら全ての要件を整理して、許可等が受けられるかどうかを確認しながら進めていく必要があります。
特に、京町家を狙って開業を考える場合、旅館業法の要件を満たしていたとしても、消防法や建築基準法がネックになって諦めざるを得ないという場合が出てきます。
当事務所では、20年以上の付き合いがある建築事務所と提携し、ご依頼頂いたお客様が許可を受けることができるよう、様々な経験とノウハウを注ぎ込んで、担当部署と交渉をしております。ご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせくださいませ。